企業財務入門(7) 保証に関する基礎知識

本日は、人的担保である「保証人」について解説します。

 

IMG_1262中小零細企事業者が金融機関で融資を受ける際に、法人であれば代表者、個人事業であれば本人以外のどなたかを連帯保証人に求められるケースが一般的です。

 

保証と連帯保証の違いを説明します。連帯保証とは、債務者と連帯して債務を負担するもので、「催告の抗弁権」や「検索の抗弁権」がありません。借りた本人よりも先に返済を迫られたり、財産を差し押さえられたりしても文句は言えないということです。実務上は、まず借りた本人に返済をお願いしますが、法律上は、事実上債務者と全く同じ義務を負っています。

 

経営責任がない第三者の連帯保証については、「債務者と同等の保証債務を第三者に負わせることが適当なのか」という議論があり、金融庁は、10年程前から、経営者以外の第三者個人を連帯保証に求めない融資慣行の確立を目指しています。ただし、以下の例外はあります。

 

・実質的な経営権を有している者、営業許可名義人又は経営者本人の配偶者(当該経営者本人と共に当該事業に従事する配偶者に限る。)が連帯保証人となる場合

 

・経営者本人の健康上の理由のため、事業承継予定者が連帯保証人となる場合

 

・財務内容その他の経営の状況を総合的に判断して、通常考えられる保証のリスク許容額を超える保証依頼がある場合であって、当該事業の協力者や支援者から積極的に連帯保証の申し出があった場合

(ただし、協力者等が自発的に連帯保証の申し出を行ったことが客観的に認められる場合に限る。)

 

その他にも金融庁は、保証履行時における保証人に対する対応如何によっては、経営者としての再起を図るチャンスを失わせたり、社会生活を営む基盤すら失わせるという問題を考慮し、金融機関に対して、保証履行時における保証人の資産・収入を踏まえたきめ細かな対応を求めています。

 

将来的には、経営者個人の保証についても不要になる可能性がありますが、当面は経営者の保証はどこの金融機関でも必須です。金融庁の経営者保障に関するガイドラインを見る限り、経営者保証を一切求めないということはありません。

タイトルとURLをコピーしました