1.記帳の目的
国税庁編『帳簿の記帳のしかた』によると個人が記帳をする目的は
1.1 税額計算をするため⇒外部報告をするため
1.2 事業経営の合理化・効率化等の検討⇒内部報告をするため
とありますが、事業経営の合理化・効率化検討のための方法は書いていません。
元来決算書を使ったのは投資家であったという歴史的背景もあり、税務署に提出する決算書(=貸借対照表・損益計算書)はどうすれば儲かるかを教えてはくれません。もっとも、税務署も税理士もどうすれば儲かるかというより納税するに値するかどうかに関心があります。
ただ、私は声を大にして言いたい
「決算書はどうすれば儲かるかを伝えるツールである」
2.CVP分析を理解する
税務署、銀行に提出する決算書から儲かっているか儲かってないかを読み取ることはできますが、どうすれば儲かるかを読み取ることは出来ません。そこで、ミクロ経済学の考え方を用いて決算書を分析するのです。この時に用いられる分析手法がCOST・SALES、VOLUME、PROFITの関係を説明するCVP分析でございます。
CVP分析から導かれるものは次のものです。
1.1 損益分岐点売上高
1.2 利益構造
1.3 経費削減策
CVP分析於いてキモとなるのは、売上高・活動量に応じて変動する変動費と売上高・活動両とは関係なしに発生する固定費に分解することであり、固定費と変動費では扱いが異なります。固定費・変動費の分解方法は次の2種類があります。
1.1 数学的方法:最小二乗法(回帰分析)を用いるもので、分解方法としては厳密となりますが、コンピュータ―を用いないと算出することは面倒です
1.2 勘定科目法:勘定科目ごとに固定費の性格が強いもの、変動費の性格が強いものをそれぞれ固定費、変動費とする方法です、固変分解が主観的という欠点がありますが、扱いが簡単であるという特徴があります。勘定科目が同じでも商売によって固変が変わってきます。
どの方法によって固変分解をするべきかというルールはありません。ただ、「儲けるために帳簿をつけるのであって、その逆ではない。つまり、帳簿付けのためにコストを必要以上にかける必要はない」ということです。