株式会社オルツと萩生田光一自由民主党幹事長代理に接点はないと思います。接点があるとすれば同じ東京都にいるだけです。株式会社オルツは独自のAI技術を持つ情報処理会社、萩生田光一幹事長代理は高市総裁に対して情報整理ができる人のようで、あえて類似点を出せば情報を扱うということでしょうか。
実施している内容については類似点がない彼らですが、「情報開示制度に対する信頼をうらぎる」という点については共通点があります。株式会社オルツオルツは「有価証券報告書」、萩生田幹事長代理は「政治資金収支報告書」の不実記載です。株式会社オルツは粉飾決算で萩生田幹事長代理は裏金の無記載と事実と違う記載を行ったことが類似で、金銭に関する記載という点は同じです。これらの不実記載はいったい何が問題となるのでしょうか。また、罪になるとすれば誰が被害者なのでしょうか。
まず、「有価証券報告書」と「政治資金収支報告書」ですが、発信先は国民全体です。ただ、いずれの書類も潜在的には国民全体であるものの読者を制限する点では同じです。こ次に、書類の作成者は簡単に不実記載をすることが可能である点も同じです。そのため、書類作成者はうそをつきたくなる欲望にかられます。有価証券報告書は売上の架空計上や使途不明金支出の未計上、政治資金収支報告書では使途不明金の未記載や収入の未計上を書きたくないという欲求があります。有価証券報告書における未記載の目的は株価引き上げ、政治資金報告書に関する未記載の目的は裏金作りとなります。いずれも、記載者が利益をえることと直接の被害者がいないことが特徴です
これらの書類の不実記載は行為として不実記載でそれほどの動きはありません。時々会社における横領や政治家秘書と称する人への報酬詐欺などの損害が出ています。被害者は会社であり国です。だからといって、不実記載は金銭的な侵害がないから詐欺より罪が軽いと言い切ってよいのでしょうか。もし詐欺より罪が軽いのであれば、有価証券報告書や政治資金報告書の発行に際して不実記載を防止する「監査」という装置を、それも決して安いとは言えないコストを支払ってまで組み込むのでしょうか。
一般的に監査、特に金商品取引法や政治資金規正法が要求する監査は不正を発見する機能があると信じられているのですが、実際には作成された報告書が正しいと認められる方法に基づいているかどうかを確認します。「監査は試査とする」ことが基本です。試査は正しいことを正しいと確認するためのサンプリングを行うという意味です。さらに、経理処理方法は一種類ではないので、「正解は一つしかない」というのではありません。監査は開示された制度を安心して使ってよいという保証を与えるために実施します。
従って、不実記載の問題は「報告書の開示制度に対する信頼を裏切る」行為であり、開示制度の存在を無意味にします。仮に彼らが許されるとすれば、開示制度が無意味になます。開示制度を前提とするもろもろに対する信頼を失わせます。影響は秘書給与詐欺により小さいことはないと考えています。萩生田光一幹事長代理は金融証券取引法に基づく情報開示制度とは何かを考えさせるとともに、その他の開示制度とは何が違うかを考える教材になるという意味で上場準備企業に教訓を与えると思います。
