上場を目指す会社の2分類

株式上場を目指す企業には大きく分けて2種類あると思っています。設立時から上場を志向している企業と成長に応じて株式上場を意識した企業です。設立時から株式上場を志向する企業は、成長率が高い企業であること、事業領域がもともと高い成長性を見込まれること、資本市場から資金を超えたするすることが必要な程度に資金需要があること、間接金融による資金調達が困難であることなどの特徴があります。このほかに役員構成が設立当初から上場審査に通りやすく設計していることが多いことがあると考えています。上場が実現するかどうかは別として、上場を志向する企業はベンチャーキャピタルからの出資を仰ぐことが多いため、当初から上場しやすい仕掛を入れています。これに対して、成長に応じて上場を意識する企業は、同業より成長率が高い企業であることは間違いないのですが、通常、当初から上場を意識した事業設計や企業設計にはなっていません。このことが上場準備に力技を必要とします。

設立当時から株式上場を志向するスタートアップ企業は、ベンチャーキャピタルからの出資を仰ぎやすいビジネスモデルを設計します。成長性が高い業種に事業を立地させる、テクノロジー志向企業になります。テクノロジーでも先端技術に見えるものが多くなります。バイオベンチャー企業やICTベンチャー企業、エアロスペース企業が該当します。多額の資金を必要とし、先行者利得を得やすく、特許によって独占できそうなイメージを持つことができる企業です。スタートアップ企業は東京証券取引所グロース市場へ上場することが目指しやすいです。グロース市場は上場基準にもある通り高い成長性を求める企業を上場させるために存在するためです。

これに対して成長に応じて上場を意識する企業は、多額の資金調達を目的とするよりも上場企業としての信用を目指すことが多いのが実態です。この種の企業は間接金融による資金調達が比較的容易であるため、わざわざ資本市場からの資金調達を目指しません。また、スタートアップ企業と異なり、高い成長性を期待することはできないので投資リターンがあまり期待できません。したがって、この種の企業にとって、東京証券取引所グロース市場を目指さないほう良いため、グロース市場以外の市場を目指します。その市場は、地方証券取引所、東京証券取引所スタンダード市場、そして投資家を限定することで上場効果を得やすくしたプロマーケット市場となります。

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