
監査法人コスモスの新開智之代表は、中小企業はTOKYO PRO MARKETに上場する義務がある、と仰っています。私も、声を大にして言いたい。企業が存続するには株式上場をする必要があります、と。企業存続に必要なエンジンは成長性と安定性ですが、より必要なのは成長性です。企業活動は何らかの方法で成長することが求められます。何らかの方法は成長戦略と呼ばれて実行します。今回は成長戦略を述べるわけでないです。企業が成長戦略を描き実行するための担保は何かという視点で述べます。
断りもなく企業といいましたが、事業を行う人は職人で生きるか、企業で生きるかの選択を求められます。職人は一人で仕事が完結することができる状態、企業は二人以上の分業が成立する状態です。企業の寿命は30年といわれる(最近はもっと短い)ように、企業は放置すれば消滅する性質があります。職人はやめればそこで終わりです。この意味では個人で開業する士業は職人ですし、一人親方の法人も職人といえます。
これに対して企業は永遠に続くという前提があります。業界用語でゴーイングコンサーンといいます。実際には、放置のみならず努力しても消滅します。放置して消滅するのは仕方ないと思いますが、努力しても消滅する可能性があるのはさみしいものです。努力の結果報われる場合のみならず、報われない場合も多々存在します。努力すれば成功するかどうかわかりませんが、成功するには努力をする必要があります。成功するように努力したい、と私は考えます。 ここで登場するのが株式上場です。上場企業は株主から、株価が上がってほしいので成長することが求められます。少なくとも成長する努力が求められますし、さらにはより成功の可能性の高い努力が求められます。株式上場は企業成長が伴うのであればこれを活用しない手はありません。企業が成長戦略を描き実行するためには、企業自身のストイックな努力が必要なイメージがあります。多分、職人が成長するために求められるのがストイックな姿勢であり、マックス=ウエーバーが指摘したことがイメージされているからと思っています。ストイックに実施することは疲れる要素が強いので、制度的に実施することのほうが容易ではないかと思います。株式上場は株主から成長性を求められるので、制度の中に成長する仕掛けが存在します。成長戦略としての株式上場をお勧めします。