株式上場準備へようこそ(2)

 株式上場は会社や従来の株主から見れば利益しかないように見えますが果たしてそうでしょうか。投資の世界にはハイリスクハイリターンの原則があります。一般に投資の世界ではハイリスクというのは価格の振れ幅が大きいことを意味しますが、ここで言いうハイリスクはマイナスのブレ幅が大きいという一般的な用語と同じ意味です。リスクが大きいから見返りも大きくならなければならないということを指す言葉としてハイリスクハイリターンで表します。ハイリスクは銀行預金とは異なり元本保証がないことを意味します。ハイリターンは銀行預金より見返りが大きいことを意味し、配当と株価上昇によって見返りを確保します。見返りを実現することが株式上場企業には求められるのですが、銀行預金の利息よりも高い見返りが必要です。これらのことは株市場上場は資金調達コストが銀行の貸付よりも資金調達コストが高いことを意味します。

 資金調達にしてはコストが高いというのであれば、株式上場を目指す動機はどこにあるのでしょうか。資金調達以外には思いつかないような感じですが、一番強力な理由は「理屈ではなくとにかく上場したい」と社長の思いです。とにかく上場したいという点において理論はありません。しかし、いくつかの理論的な理由が存在しますのでそれらのうち代表的な2点を紹介します。第一に「上場によって事業承継に役立てたい」ということ、第二に「組織戦闘力を上げる」ということが挙げられます。

タイトルとURLをコピーしました