株式上場準備へようこそ(1)

 株式上場準備の世界へようこそ。これから、株式上場準備の実務内容について述べていきますが、最初に株式上場について述べます。株式上場、時にはそれに伴う新規公募増資の略語であるIPO(Initial Public Offering)といいます、とは会社が発行する株式を証券取引所において取引可能とすることを言います。株式上場を英語でListingといいますので本来はIPOとは違うのですが、この界隈においては株式上場のことをIPOということが多いので、IPOという言葉が出回っていますが、ここでは私の趣味で株式上場と述べていきます。

 株式上場で実現する直接的な効果は直接金融で資金調達できることです。直接金融は資金の出し手である投資家が自分の意思で投資先を決める金融形態を言います。これに対して間接金融という形態があり、銀行がこの役目を果たします。銀行はお客さんから預かった余ったお金(すぐに使わないという意味で余ったお金と述べています)を銀行の判断で資金融通します。銀行が行う判断を審査と呼びます。これに対して直接金融では審査の機能がありません。従って、審査の代わりになる機能が組み込まれることになります。株式上場準備はこの審査の代わりになる機能を上場準備会社に組み込む作業をいい、その全容を明らかにすることがこの文書の目的です。

 では、最初に株式上場を行う効果を考えていきたいと思います。

 第一に指摘できるのは返済義務のない資金を確保することができます。原則として、株式会社には資本維持の原則があり、一部例外はあるとしても一旦株式を発行した場合において会社から資金の返済を求めることができません。このことから株式会社に対してお金を提供した場合(これを出資と呼びます)の投資家はお金の返済を受けられないのですから、会社から見れば返済義務はないということになります。この返済義務のないお金を確保できるということは、オーナー経営者にとって魅力的であるようで、出資がしやすい環境になる株式上場は魅力的に見えるようです。

 第二に、創業者といった今までの株主が資本市場に株式を売り込とによって株式を現金化することができます。このようにして確保した現金のことを創業者利得といい、オーナー経営者が株式上場を目指す要因の一つになっています。先ほど述べましたが、株式会社はいったん確保した出資金を出資者に払い戻すことはありません。このため株主が株式を現金化するためには株式を売る方法以外はないのです。魅力的な会社の株式は高く売ることができるため、株式を高く売るためにはどうすればよいかを常に考えて行動する必要が生じます。と申しましても株式を売却するために行う魅力的な会社にする方法の一つに将来の利益を確保することを可能と思わせることがあると指摘しておきます。

タイトルとURLをコピーしました