はじめに
令和3年3月21日現在では事業再構築補助金の公募要領は出ていませんが、事業再構築補助金の申請準備に役立つようにと、令和3年3月17日付で発表された『事業再構築指針』では事業再構築を定義しています。
事業再構築とは「新分野展開」「事業転換」「業種転換」「業態転換」「事業転換」を行う計画に基づく企業活動、です。また事業再構築には、「製品の新規性」と「市場の新規性」が必要とされます。類型に応じてそのほかの要素もありますが、少なくともすべての事業再構築要件について「製品の新規性」と「市場の新規性」は要求されます。
以前、公的機関に対して、事業再構築とは何かを問い合わせたことがありますが、少なくとも新規性が必要ですということを聞いていましたので、どこまでの新規性が必要かということだけが私の関心事項でした。
製品等の新規性
製品等の新規性は、
① 過去に製造等した実績がない
② 製造等に用いる主要な設備を変更する
③ 競合他社の多くがすでに製造している製品等ではない
④ 定量的に性能または効果が異なる
のすべてを事業計画の中で示すことができることが要求されます。
ここで厄介なのは③です。
①だけならば、自社にとって新しいことは必ずしも日本初や世界初ではないのですが、③が加わったことで日本初とまではいかないかもしれませんが、限りなく地域初が要求されることになります。事業再構築指針の手引きでは「焼きプリンの例」が示されていますが、そういうことです。
ですから、市場調査をしっかりと行う必要があるということです。
また、競争相手の検討をしっかりと行う必要があります。プリンついでに飲食物で考えようと思います。例えば、ほとんどのドーナツショップにはドリンクバーがありませんが、ドリン久バーに新規性があるかと聞かれると疑問があります。
市場の新規性
市場の新規性は、
①既存製品等と新製品等の代替性が低いこと(必須要件)
②既存製品等と新製品等の顧客層が異なること
が要件となっています。
①については新製品を投入することによって既存製品の売上が下がらない、つまり置き換え需要をターゲットとしていないことを示す必要があります。つまり既存品と新製品が置き換えられないことが必要です。和菓子専門店が洋菓子に進出した場合、和菓子のファンと洋菓子のファンが同じであれば需要の代替性を満たす可能性があります。
手引きでは満たさない場合として、アイスクリームとかき氷の例が出ています。アイスクリームもかき氷も食べることはめったにないでしょう。
②についていえば任意条件とされていますが、よく考えたら新品であることを担保するために顧客ターゲットが違うことはあり得ます。
例えば、バイアグラは、元来、狭心症治療を目的として開発されたものですから、ED治療薬に転換させると顧客層が異なります。
ただ、顧客等が異なることを示すのは加点要素であるため、マーケティング活動と競争相手の見直しによって要件を満たすことはあり得ます。