戦略的費用の改善

経営論コラム

戦略的費用とは固定費のうち将来の成長に向けて行う投資的性格のある費用を言います。固定人件費、広告宣伝費、交際費、減価償却費を指します。固定人件費は幹部要員及び幹部候補生を雇用するための人件費、言い換えるならば正社員を雇う人件費を言います。また、教育訓練費は人材の育成のために投下されるものです。広告宣伝費は自社や商品を案内する費用、交際費は取引先などの利害関係者の歓心を買う費用であって、どのような勘定科目で支出されても歓心を買う目的で支出される費用を言います。これに対して減価償却費は固定資産の費用化に伴って発生します。

 戦略的費用のうち一番削減しにくいものは減価償却費です。減価償却費は固定資産を保有するだけで発生するため、削減の意思決定は固定資産導入前に行うことになります。固定資産の導入の主目的は生産能力の増強や生産効率の極大化を目指すものであり、導入に際して様々な手続きを踏む必要があることから、固定資産の導入には時として取締役会決議を経る必要があるものも存在します。

固定資産はいったん導入すると減価償却を行う必要があります。企業の税務会計においてはすることができるとなっており、減価償却は任意のように見えますが、企業会計においては減価償却は義務となっています。減価償却を止めることができるのは、時の経過による劣化がないこと及び仕様に伴う劣化がないことを満たすときに限られます。ほとんどの場合時の経過期伴い劣化しますので、企業会計上減価償却を止めること不可能に近いです。このため、途中で減価償却を止めることはできないと考えざるを得ません。

次に止めることが難しいのは固定人件費です。これは労働者に対して労働制による保護あることがその要因ですが、だからと言って労働保護法制がなくなると社会不安に陥ることもあるので労働法制を無視することはできません。労働法制の主なものは、解雇要件を満たさないと解雇が違法になる、労働条件の不利益変更には労働者の同意が必要であることが主なもので、人を雇う前に検討しないと手を打つことが難しいという面があります。

これに対して、広告宣伝費と交際費は投下してもその効果がなかなか見えないこと、逆に削減してもその影響はすぐに表れないことがあり、削減の衝動にかられます。それと教育訓練費も同様な性格があります。更に、個々の売上と関連性を結びつけることが困難であるため、現場を知らない人間(と言うことはないのですが、「事件は現場で」起きます)は削減をすぐに考えようとします。不景気になると飲食店街に閑古鳥が鳴くのはこのような背景があるためです。 広告宣伝費や交際費を削減するといつ影響が出るかとなれば、これはわかりません。会計的に資産性を認めないのは紐づけが困難であるからです。

ただ、広告宣伝を減らすと将来にわたって売上高が落ちますし、式年遷宮を取りやめると技術の伝承ができなくなります。交際費を削減すると別の企業と取引先が交代するかもしれません。長期安定的な取引を好む日本企業においては交際費は潤滑油でしょう。削減するとプラスの影響もマイナスの影響も多い費用が戦略的費用です。

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