企業財務入門(23) 『銀行取引の基本ルール1.[その1~その5]』

認識の有無は別として、ほとんどの中小企業にとって銀行は重要な取引先のひとつです。

銀行の考え方を良く理解していただきたいと思います。以下、銀行とのお付き合いの仕方について言及いたします。

(※注記;本コラムでは、金融機関を総称して「銀行」と呼びます。)

 

近鉄奈良線開業時の生駒隧道

■銀行は『晴れの日にはお金(傘)を貸して、雨が降り出したらお金(傘)を返せと言う』、こう嘆く方は少なくありません。

今一度銀行の成り立ちと、ビジネスモデルを思い出しましょう。

銀行は…

・貸出しの原資は預金です。預金者保護、融資金の回収は必須です。

・赤字補てん資金、こんな融資科目はありません。

・「苦しいから貸して」これは絶対禁句です。

・晴れの会社に傘を貸して利息を稼ぐ、これが基本的な収益モデルです。

・伸びる会社を伸ばす、これがミッションです。

銀行にある傘は、すべて『日傘』です。『雨傘』は一本も置いていません。当然、雨が降ったら返せと言います。これを業界用語で期限の利益喪失条項といいます。

 

ルール1;銀行交渉は、いかなる時も前向きに…「日傘」しかないからです。(※一部の制度融資・保証商品は除きます。)

 

■『金利負担を気にせずに、借りられるだけ借りよう』と提案しています。中小企業の資金政策に対する誤解があります。

貴社と取り巻く以下の環境を確認ください。

・貴社は、適時定量な資金調達が出来る優良企業ですか?

・銀行が「借りてください」と言ってくるから優良企業だ、違います。

・悪くなった時に貸してくれる会社が真の優良企業です。

・適時適量な資金調達が出来る会社なんて、ほとんどありません。

・ほとんどの会社は良い時に(のみ)貸してくれる普通の会社です。

 

2つのリスクを比較してみましょう。

○リスク1;金融機関から融資を過度に受け過ぎて、資金が余る時のリスクは、余分な金利を支払う事です。

○リスク2;必要最低限の資金のみを調達し、余分な資金を調達しない時のリスクは、資金が枯渇して、継続が困難(倒産)になる事です。

中小企業は、前者を選択すべきではないでしょうか。

また、決算前に、財務指数を改善するために、借入れを意図的に返済して総資産を圧縮したり、自己資本比率をあげたり…

こんな愚策を行ってはいけません。決算上の指標は、格付け時に補正されます。また、「無借金経営を目指してください」と良く言われます。その通りです。但し、プロセスではなく、結果として目指しましょう。

これまでの内容を確認します。

銀行は、困っていない時にお金を借りに行くところ、困ったら貸してくれません。

ルール2;お金は、借りられる時に借りられるだけ借りておく。

ルール3;財務諸表、自己資本比率等々、中小企業には(ほとんど)無関係です。

ルール4;無借金経営は最終的な目標です。

 

■『運転資金は、最低年一回は借り直す。出来れば積み上げてください。』と提案しています。

以下を確認ください。

・借入れは、新たに借りなければ残高が減ります。手元資金が減ります。財務キャッシュフローはマイナスです。

・営業キャッシュフローのプラスで、財務キャッシュフローのマイナスを賄えていない会社は、絶対に年一回は、返済済み分を借り直してください。

・お金が減ってきたから借りるのではなく、定期的に返済分以上の融資を受ける、これが正解です。

 

ルール5;運転資金は毎年借り直す。

…次回につづく。

銀行取引に対する世間の常識の内の幾つかは、明らかな間違いです。正確に申し上げるなら、それらは上場企業クラスに対する常識であって、中小企業には当てはまりません。間違えた常識を鵜呑みにせず、論理的に考えて行動する必要があります。

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