事業システム論が難しい理由(1) 理論だから

アメリカの書籍は詳しく説明します。

加護野忠男・井上達彦先生の著書『事業システム戦略』を用いて経営戦略論を語っていますが、この書物のまとめであり難しさを示す箇所が第4章「事業システムの理論的枠組み」です。事業システム、理論、枠組み、と難しい要素が3件もあります。この箇所をもって「学者の空理空論」と切り捨てる人は多数いると思いますし、逆にわかった気になる人も少なからず登場します。私が思うに『事業システム戦略』を使ってビジネスに役立てることができるかどうかはひとえにこの章の理解にかかっていますと判断しています。私自身は加護野先生の直弟子でも何でもありませんからこの考えが正しいとは言いません。ただ私にはそのように見えたというだけです。 今までの流れを振り返ると、まず、システムというものの理解を試みるために経営戦略論を展開しているにもかかわらず「マリアナ沖海戦で端的に示された日本海軍とアメリカ海軍の戦争遂行システムの差」を取り上げました。あくまで「システムの差」を問題にしたのであって戦訓を何変えようとした目的はありません。次に日本人が「事業システムを設計した例」として阪急電鉄小林一三翁が取り組んだ「高級志向の大衆」を相手に顧客を創造した例と、十河信二第4代国鉄総裁が中心となって日本の持てる力を使って構築した「東海道新幹線システム」の例で産業の創出と寿命の延長の例を検討しました。次に事業の方向性を「スローガン」に託した例としてSONYの”Digital Dream Kids”と”ReGeneration”です。某経営戦略論の教科書では華々しく取り上げられましたがその後の評価はあまり芳しくなかったようです。 私はこれらのことから「机上の空論」をするつもりがないことを示そうとしたのですが、私の父に言わせると「中小企業経営の現場ではただの空論で経営の現場には役に立たない」といいます。このほかに中小企業家経済同友会の教科書にも「机上の空論からではない経営実践の中で生まれた方法論」に基づくといいます。実のところ言えば、『事業システム戦略』の中にも「課題は理論と実践のギャップをいかに解消するか」とあります。私の父の例では「個人の経験=一般論」とすることに問題があり、中小企業家経済同友会の例では一つのドクトリンで凝り固まるのが問題であり、『事業システム戦略』の書物それ自体では具体的な使い方をマスターすることは出来ないことが課題です。