企業財務入門(13) 『中小企業にも財務部長は必要か』

IMG_1303設立当初は、資金の準備、人の雇用、商品の開発・仕入れ・販売の全てを社長自らが行います。その後、部門ごとに責任者を育て、少しずつ権限を委譲していきます。仕入や営業は比較的早い段階で責任者を育てることが出来ますが、財務に関しては最後まで社長が兼任している企業が多いようです。

 

財務の主な役割は資金の管理と調達です。一般的な中小企業では、毎月の入出金管理や銀行対応などの財務活動を、社長自らが行っております。会計や金融の知識が無くても、最低限の対応はできますので、給与を払ってまで財務部長を雇う合理性が見つかりません。問題はここにあります。

 

本来、財務活動には専門的な知識と経験が必要です。

表面的には問題が無いように見えても、少しずつ病気が進行しています。日々の営業活動が資金繰りに与える影響を想定して、問題を早期に解決することが財務活動の本当の価値です。

専門的な知識と経験を持つ財務部長は、自社の財務内容を正常に維持することに役立ちます。

 

また、財務の役割は倒産回避だけではありません。

会社の成長に必要な資金の調達を促進します。金融機関対応です。

金融機関と円滑な関係を構築するためには、金融マンと対話ができる金融知識が必要です。また、資料等を求められた場合、正確で迅速な対応が求められます。事業を行う上で金融機関は最大の取引先です。忙しい社長が合間に対応するよりも、専任窓口を設けた方が良い関係を築けます。

 

もちろん社長が財務部長を兼任しても問題はありませんが、藤沢武夫氏が本田宗一郎氏を財務面で支えたように、優良企業の多くには優れた財務担当者がいます。社長は財務活動を専門家に任せて営業活動に専念する方が合理的なようです。

 

財務部長を置くと具体的に経営はどの様に変わるのでしょうか。

当社が取り組んでいる財務管理手法の一例をご紹介します。

徹底した資金シミュレーションです。

 

例えば、社長が「売上増加策として10%のクーポン券を発行しよう」と考えた場合、財務部長が資金シミュレーションを行い「売上8%の増加で資金トントン、15%の増加で100万円の資金増になります。」という判断材料を社長に提供します。

 

結果を受けた社長様が、

15%も売上増が必要なのか…では、8%のクーポンならどうなる?」といった具合にやり取りが繰り返されます。

 

新工場を作った場合、営業マンを雇用した場合、仕入先との取引条件を変えた場合…等、営業活動が資金繰りに与える影響をシミュレーションすることで、より正確な経営判断ができるようになります。

シミュレーションの結果、銀行借入が必要であれば、借入に必要な書類の作成から、金融機関のコーディネートまでを財務部長が行います。社長様は、財務活動に労力を割くことなく営業活動に専念できます。

 

財務部長は中小企業にとっても有用です。積極的に登用することを推奨しますが、やはり給与水準の高さが障壁となる場合があります。といいますのも、専門的な知識を持つ財務部長が登場する局面は企業経営においてあまりないからです。しかし、必要となる局面においては生死を決することも多いのです。

 

その場合に備えて、銀行融資プランナー協会の正会員である当社では、財務部長の役割を引き受けるサービスをご用意しております。是非ご活用ください。

 

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