マイナンバー対策を考える(4) 官の論理・民の気持ち

私ごとですがIMG_16392015年6月4日日に開催された近畿税理士会門真支部定時総会終了時を以って、門真支部業務対策委員長を仰せつかりました。マイナンバー対応は業務対策委員会の所轄となっています。また、マイナンバーは近い将来全国民の端末とインターネットを経由して管理システムとつながることになっているため、情報化対策委員会の所轄でもあります。門真支部はこれら二つの委員会が業務対策委員会に一本化されています。私がマイナンバーに関心を持つ理由はここにあります。

さて、税の世界ではe-Tax、eLTAXを使われる人は3つ、使わない人は2つの番号が税務署などから割り当てられています。社会保険番号においても健康保険や国民健康保険、国民年金に公務員共済と少なくとも2つの番号が割り当てられています。現時点で公表されているマイナンバーに関連するICTシステムを見る限りマイナンバーはこれらの番号と紐付けされるものの分散格納されます。まさにクラウドコンピューティングです。

総会終了後、税務署幹部との意見交換会がありませて、その中で門真税務署泉管理運営統括官とマイナンバーで盛り上がりました。官の論理は「マイナンバーは利用するためにある。この数年間でマイナンバーだけでキーにできるかどうかが問題だ。民間はセキュリティーを気にしすぎている」といいます。税務署はマイナンバーが正しく申告されていることを前提として業務を組み立てますからこのような見解は完全に合理的なります。

これに対して民間は情報漏洩に敏感です。確かに官の論理は論理として正しいのですが、日本年金機構から年金データが漏洩したとの一報を聞いたときに、何が漏れたのか、どのように悪用されるかを気にする論調になっています。このため、利用より先にデータ漏洩を問題視します。全顧客データが漏洩されたBenesseのデータも同様な問題となりました。Benesse問題の本質は他社はBenesseと同様のデータベースを持っていないことにあります。Benesseだから提供したのに他に漏れると困るという人が多いので漏洩に対して500円の図書券をお詫びとして提供したのです。

その後、ニコチン切れを起こした船越副所長に誘われてヤニ部屋に移動しましたが、そこでは市井の人の感覚をこのように伝えました。「タスポデータをマイナンバーで紐付けしてファイザー製薬に売る」です。実際にファイザー製薬が直接ダイレクトマーケティングはできませんが、どういうことを意味するかは伝わったと思います。

ですが、マイナンバーが定着することは税の側の問題ではなく、社会保険の側の問題だということでは意見の一致を見ました。社会保険番号で問題が発生するといくら税の世界でマイナンバーが定着するとしても効果はなくなります。類似の問題は住民基本台帳ネットワークカードの時にも起こりました。国税にとっては、グリーンカード、住基ネットカードに続いて三回目の挑戦です。

今回のマイナンバー制度について、泉統括官に加えて法人部門の藤島統括官も国税管理システム導入時に相当苦労したようで、是非とも成功させたいという執念を感じました。ということは統括官全員に話を聞いていませんが門真税務署の統括官クラスは「データの名寄せ」に苦労した経験を持っています。実を言えば、データの名寄せを試みた経験を持つ人間はすべからく「本当にデータの名寄せができるのか」という疑問を感じるものです。普通の人間が思うほど、データ丸見えということにはならないのです。