企業財務入門(21)『銀行が貸し出すのは「日傘」です。』

IMG_1336銀行(※信用供与を行う金融機関、メガバンク、地方銀行、第二地方銀行、信用金庫、信用組合などを包括して銀行と表現します。)には『雨傘』はありません。銀行にあるのはすべて日傘』です。銀行は、「雨が降れば傘を引き上げる」と比喩されるのはこのためです。

銀行のお金は預金者からの預り金です。貸し付けたお金を回収不能にするわけにはいきません。だから、経営が行き詰まった会社にお金を貸すことは出来ない仕組みになっています。銀行が融資するのはあくまでも前向きな資金『日傘』です。

◆資金調達の原則は、晴れの日に借りることです。

・これから事業を拡大するので運転資金を早めに調達したい。

・新たな設備投資で生産性を向上させたいので設備投資資金を借りたい。

これが本来の銀行とのお付き合いの仕方です。

◆赤字になったら融資は受けられないのか?

・経営が厳しくて資金が回らない、貸してくれなければ会社がつぶれる。

こんな状況・表現では融資は受けられません。銀行に『雨傘』はありません。

・経営状態が○○…で悪化しているが、□□…で改善するので、つなぎ資金を融資して欲しい。論拠は△△…で、立ち直る可能性は大である。このようなストーリーとエビデンス(証拠)が必要です。この前提であれば、銀行の経営理念にも合致します。良い銀行員なら検討してくれます。

参考までに一つの事例を言いますが、急遽10日間の資金繰りをつけるために某赤い銀行に相談した際に求められたのが、10日間の入出金明細で間違いなく返済可能であるということを証明する売掛回収予想表でした。この案件は会社運営上、私に権限はないのですがの私の独断(もちろん統括する専務には事後報告です)でやりました。

閑話休題、繰り返しますが、銀行は困った会社を助けるためのボランティア活動を行う機関ではありません。預金者から預かったお金を健全に運用することを前提に、経済活動の血液であるお金を円滑に循環させるための機関です。

困った会社を助けることも銀行の使命だ…と勘違いされている社長様も少なくありません。気を付けてください。

以下、銀行法第一条を引用します。上記の解説と併せて確認ください。

◆参考;銀行法(抜粋)

(目的)

第一条  この法律は、銀行の業務の公共性にかんがみ信用を維持し、預金者等の保護を確保するとともに金融の円滑を図るため、銀行の業務の健全かつ適切な運営を期し、もつて国民経済の健全な発展に資することを目的とする。

◆銀行と上手にお付き合いするコツは…

・銀行が融資するのはあくまでも前向きな資金『日傘』であることを理解する。

・故に、晴れの日に前もって将来のための資金を借り入れる。

・銀行に対しては、貸せる論拠を数字で提示する。借りるための理論武装が必要。

・会社の経営状況を常に説明できるようにする。

◆銀行が嫌う会社とは…

・ウソをつく会社。

・経営状況がわからない会社。

・感情で融資を頼んでくる会社。

弊社は、銀行(金融機関)対応に突出した能力を有しています。お悩みの企業様は、ご遠慮なく相談してください。弊社従業員は、『他の事務所で出来ない金融機関対応(融資等)でも、弊社なら可能かも知れません。一方、弊社で無理なら、どこへ言っても無理です。』を目標に日々研鑽しています。

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